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Chapter.01
どうして「学校に行けない」子どもたちがふえているのか?



  不登校生が増加し、社会問題となってから久しくたちます。この間にもさらに不登校生は増え続け、小学校から学校に行けないという低年齢化までもが進行しました。このように日本で多くの不登校生が現れている背景には、どのような原因が潜んでいるのでしょうか。

  戦後の経済成長は、現在の日本の豊かな経済力を築き上げました。しかしその一方では、経済力と経済成長を支えるために、社会において過剰な競争が醸成されたように思います。また、社会全体の価値観が経済成長面に集中し、価値観の画一化が進行しました。その結果、人々の間では「心の豊かさ」が軽視されてきました。これらの社会現象は、もちろん教育現場にも影響をもたらしています。

  まず、過激な競争は受験において顕著に現れます。生徒一人ひとりに順位がつけられ、それが元で多感な思春期に自尊心を傷つけられる生徒がいます。学校内での人間関係でも、例えば、学力の高い生徒が学力の低い生徒を、学力が劣っているという一点だけを見て、自分よりも価値が低い人間であるかのように見下してしまう奇妙な序列が生まれることもあります。


  スポーツが盛んな学校の部活動においても、競争が過剰になり、レギュラーの生徒が補欠の生徒を自分よりも価値が低い人間であるかのように見下すなど、勉強面と同質の現象が起こることは否めないでしょう。

  また、教育の画一化は同質化を生み出し、異質なものを拒む風潮を強めます。個性的な生徒や同質化を嫌う生徒は排除され、留年した生徒や周囲と異なる点を持った生徒も異質なものとして排除されてしまうのです。加えて、画一化は、一部の学校で実施されている厳しい校則や過剰な管理教育が一因であるとも言えます。

  経済成長を維持する人材を育成するために行なわれた、短期間で結果を出すことを生徒に求める暗記中心・マークシート式の教育。これが思考力の育成には適さず、好奇心の旺盛な生徒の興味や関心をそぎ、「何のために勉強するのか」といった疑問を感じる生徒が生まれるのは当然のことです。これらの教育姿勢は、高度経済成長が終わった今日も延々と続いています。

  現代のように経済の右肩上がりの成長が期待できない時代にあって、大企業の倒産や不安定な雇用といった社会現象が報道されるなかで、無理をしてつまらない勉強をしても将来報われるとは限らないという思考が子どもたちの間に広がりました。その結果、学習の目的の消失と、学習意欲の低下が生徒に現れているのです。

  また、長年の経済成長重視の風潮のなかで、人々の間では心の豊かさや、心のつながりが軽視されてきました。さらに、インターネット、携帯電話といった間接的なコミュニケーションツールの普及により、生身の人間関係を構築する能力が十分に育まれず、子どもたちの交友関係も希薄なものとなっているのです。この情が通いにくい表面的な交友関係に、疲れやストレスを感じる生徒も少なくなく、さらに、こうした希薄で貧しい交友関係はいじめの深刻化をもたらしています。

  学校に行けなくなる生徒が増える主な原因は、このような子どもたちを取り巻く環境にあると考えます。




Chapter.02
不登校になるのは本人のみの原因ではない



  不登校は本人だけの個別の問題としてとらえてはいけません。社会の変遷や現象から生じてしまった大きな問題が不登校である、ととらえるべきなのです。

  心安らぐ家庭と、楽しく集団生活を送れる学校、そして信頼できる地域社会が互いに協力する環境でこそ、子どもたちは健全に育ちます。しかし不登校になった場合、社会の変遷や現象の問題は周囲から注目されにくいため、子どもと親のみが周囲から奇異の視線を浴びてしまいます。その結果、大人社会は不登校の真の原因に対して無関心なのが現状なのです。

  また、厳しい校則のもとで過剰な管理教育を行なっている一部の学校はもちろん、その他の学校も社会の大きな流れのなかで、大人の都合に合わせて子どもたちを教育しているケースが少なくありません。学校生活は先生や大人ではなく、子どもたちが主人公であることを忘れてはいけません。子どもたちを中心に学校生活が営まれるなら、おのずと子どもたちは学校の楽しさ、おもしろさを感じ取り、学校生活に励めるはずです。
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Chapter.03
今の日本では、不登校生の再出発は難しい



  学校に行けなくなった生徒がもう一度新たな環境でやり直したいと思っても、高校生の場合、厳しい現状が待ち受けています。全日制への編入は入学条件が厳しく、なかなか希望通りの学校へ編入できません。もちろん、中学生の場合は、義務教育であるため本人が望めば他の公立校へ編入が可能です。しかし、せっかく編入した学校でも、多くの不登校生が以前と似た環境に身を置くこととなり、再び学校に通えなくなってしまうケースが多いようです。

  また、勇気を振り絞って気持ちを新たに再び学校へ戻ろうとしても、まわりの視線が厳しく、クラスに自分の居場所がないと感じる生徒も多くいます。

  このような状況のもとで、世間の目とそこから生じる罪悪感にとらわれて、無理をしながら学校に行こうと試みる生徒や、子どもを無理やり学校に行かせとようと試みる保護者も少なくありません。しかし、無理が続けばストレスが増加して必ず心身に変調が現れます。これは、多くの不登校生が心の病にかかってしまうことがわかりやすい例と言えるでしょう。




Chapter.04
不登校から再起する子どもたち



  これまで述べてきたことからも、不登校となった生徒が国内の学校で再出発をはかることは、簡単ではないことがわかると思います。

  さまざまな理由で不登校となった生徒が、環境を変えて再出発を試みるとき、留学が1つの大きな選択肢になり得ることを知ってほしいのです。

  一般的には、中学・高校留学は非常に難しいと言われています。なぜなら、海外の学校、特に英語圏の国々の学校は日本の学校と異なる点が多いため、日本の通常の学校教育に慣れている生徒にとっては海外の教育に抵抗を感じることが多いからです。海外の学校では、特に自己主張することや、決まった答えがない質問への独創的な答えを要求されます。多くの日本の学校教育では、あらかじめ用意されている解答をいかに早く正確に、そして要領よく導き出せるかという点に重きが置かれているのです。実際に、こうした教育システムの違いに戸惑いを感じる留学生は少なくありません。


  では、海外の学校に適している生徒はごくわずかに限られるのでしょうか。ましてや、日本の学校で不登校となった生徒にとっては海外の学校に通うことはさらにハードルの高いことなのでしょうか。

  これは、逆説的なことですがWSOセンターがこれまでにサポートしてきた生徒を見ると、日本の学校が合わないと強く感じている生徒ほど海外の学校にはスムーズに順応しているのです。

  理由はとても単純です。

  第一に、不登校生の多くは単なる怠けや根気がないという理由で学校に行けないのではないからです。不登校の原因の多くは、心の繊細な部分の問題であり、決して根性論としてとらえてはいけません。不登校生に海外の環境で頑張っていく根気がないと決めつけないでください。

  第二に、日本の学校教育が合わずに不登校生となった生徒ほど海外の学校教育と相性がいいということです。つまり、対極的なスタイルをとっている日本の教育と英語圏の国々の教育とでは、一方に著しく相性が合わない場合は、その対極のものに相性が近いか一致するものなのです。

  このように、不登校生にとって、留学は決して相容れない存在ではなく、むしろ日本の学校が合わないと感じる生徒ほど、一般に異質に見える海外の学校教育に順応しやすいと言えるのです。

>>>「不登校生が留学する意義」のページへ続く
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※本文はWSOセンター及び平井啓一の著書より引用・抜粋したものであり、本文の著作権はWSOセンター及び平井啓一に属します。本文の無断転載・複製・複写(コピー)・翻訳を禁じます。



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